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第0068号 ~仕事の幅を広げるやり方
(更新日:2010年03月31日)
知り合いに、飛躍的に売上を伸ばした若い司法書士がいます。
彼は、3年前に司法書士試験に合格し、事務所を開業しました。
しかし案の定、大御所と呼ばれる古株の司法書士たちが、
銀行とか地元の企業の“窓口”として暗躍していました。
すると、多くの開業間もない若手の司法書士たちは
古株が手を出さない簡易裁判訴訟のほうへと目を向けます。
しかし、簡易裁判とは言えその道のプロの弁護士に勝てるはずもありません。
そこで彼が考えたのは、英語を学ぶという手です。
ご存知のように商業登記や不動産登記に英語はほとんど関係ありません。
でも、それを知っているのは同業者や先生方のような士業の関係者だけです。
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仕事を発注してくれるお客様は、銀行の融資担当者であったり、
地元の中小零細企業の社長であったり、つまりその道の素人です。
すると「あの司法書士さんは英語も話せるらしいよ」と噂が広まり、
次には「英語が話せるならきっと仕事もできるはず」となりました。
もちろん、英語の能力と司法書士業務との関連も因果関係も一切ありません。
でも、周囲の目は往々にしてそのように見てしまうものなのです。
司法書士の仕事は「手続業務」です。仕事の仕上がりは同じ。と言うよりも、
A先生とB先生の仕事の仕上がりが違うとおかしいことになります。
登記申請書に書いた「1丁目(アラビア数字)」と「一丁目(漢数字)」の
違いを登記官に指摘されるような非常に細かい仕事ですから。
つまりは、技術(腕)の見せ所がほとんどありません。
しかし、仕事の仕上がりがまったく同じなら、
どこでお客様にライバル事務所との差異を感じさせるか。
それさえ徹底的に考えれば、自ずとやるべきことが見えてくるはずです。
そしてそれは、税理士業でも同じことだと思います。
いくら「所得税、法人税が得意です!」と大きくうたったところで、
周囲からすれば「税理士なんだろ、そんなこと当たり前だ」と思います。
大工が「のこぎりとカンナの扱いには自信がある」と言うのと同じです。
A事務所とB事務所で決算書の数字が1桁違うなんてことはあり得ません。
英語が話せる司法書士は、仕事の幅が広がる。
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一方、税理士がいくら税法を深く突き詰めても仕事の幅は広がらない。
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そんなことよりも、まだ徹底的にパソコンに詳しい税理士のほうが、
顧問先から見ればよっぽどマシだと思うことでしょう。
井戸のようにどれだけ奥深く掘っても売上は伸びません。
できるだけ間口を広く見せて、一歩でも中に入ってもらうことです。
ただ、間口を広く見せるだけで実際に幅広い業務をすることはありません。
それではかえって効率が悪くなるからです。
ポイントは、司法書士の英語。要は、間口を広く見せるだけで、
やるべき仕事は通常業務でOKです。
しかし、今さら英語やそれに準ずるものを学ぶ時間など皆無だと思います。
ところが「この事務所、なんだか面白そう!」と思わせることは簡単です。
「所得税、法人税が得意です!」は、大工のカンナとのこぎりです。