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第0094号 ~「経営者感覚を持て!」という言葉
(更新日:2010年10月27日)
私は12年間ほど税理士事務所に勤めていましたが、
所長から言われて最も不思議に思ったというか疑問を抱いた言葉が
「経営者感覚を持て!」という言葉です。
おそらく先生方も職員に向かって言っているのではないでしょうか。
しかし、当の職員からすれば、これほど不可解な言葉はありません。
「だって職員なんだもん・・・」と首をかしげてしまいます。
逆に生真面目で何でも正面から受け止める職員は、
経営者感覚をつきつめるとその事務所を去ります。
「自分でも何か始められるのでは?」と勘違いするからです。
どの道、この「経営者感覚を持て!」という言葉から、
何一つ良い結果は生まれません。
第一、先生方も経営者感覚を持てるのでしょうか。
数人の職員を抱えていても、仕入れと在庫がない商売を営む人に、
腐ってしまう在庫を抱える花屋の店主の気持ちは理解できません。
数字だけから見える世界には限界があります。
職員の特性を生かそうとすれば、経営者感覚を望むのではなく、
むしろ「雇われる者の気持ち」を大切に育てることのほうが得策でしょう。
“組織の中の一部”という立ち位置を明確にしてあげることで、
職員たちはホッとするでしょうし、存在価値を自認することができます。
職員からすれば、もっともっとタブーなことはたくさんあります。
それらについてはまた今度お話します。
職員は所長の気持ちは分かりませんが、先生も職員の気持ちは分かりません。
職員は「職員」という肩書きではなく、仕事なのです。